「やだやだやだ絶対やだ」
「そんなこと言ったって仕方ないでしょ」
はぁ、と溜め息を吐くまな。
「会いに行くから」
そう言って頭を撫でてくれたけど
嫌なものは嫌なんだ。
私がこんなに駄々をこねている理由は簡単。
まなとクラスが離れてしまったから。
「やだよ、まながいないと私…」
「大丈夫だからもう行きなさい。
本当に遅刻するわよ」
「やーだー」
「やだじゃなくて……もー……」
また一つ溜め息を吐いたまなが、
私の手を取って歩き出す。
まなは歩くのが速くて、ついていくのがやっとだった。
「待って、まな待ってよ」
必死についていくけどやっぱり私には速くて
途中ですれ違った男子と肩がぶつかってしまった。
「あ、わっ、ごめんなさい!」
「………」
……な、
何あの男!!!
謝ったのに、ちゃんと謝ったのに…!
「まなー」
「もうあんたのクラスに着くから待って」
「さっき男の子とぶつかった」
「…あ、私のせい?ごめん」
「ちっがうのその男子がね!」
私は聞き逃さなかった。
あの男子が、
謝った私に舌打ちをしたことを!
もう、入学早々ついてないなぁ…。