食事はおかまに囲まれてのご飯。

これはまぁ、ここのルールらしい。


「ヤノウちゃん、あれがここのホテルの一番えらいさんなのよ。」

もう、名前を覚えてる。すさまじい。

「あの、大柄な人ですか?」

「そうそう!次、あのテーブルが終わったら呼んであげるからね♡」

あぁ、各テーブルをまわるのがここのおもてなしか。

「一番えらい人に会えるなんてすごいね。」

ユアは無邪気に笑う。

「あ、あぁ///そうだな///」


「どうも、こんばんは……って、子供じゃない」

けっこうのど太い声の主だった。

「こ、こんにちは!」 

ユアはぎこちなく挨拶をする。緊張しているのだろう。

そのえらいさんは、体格がいいせいか、着物がはじけそうだ。

「子供がどうしてこんなとこに来たの?」

どすんと椅子に座った。ひしめく音がしなかったので丈夫に出てきているのだなと思った。

「俺たちは旅をしているんです。それで、今回たどり着いた場所がここだったんです。」

「旅……?はやすぎない?やめといた方がいいわよー。」

「いえ、そうはいきません。」

「あなた……いい目してるわね。なにか事情があるのかしら。教えてくれない?」

「いえ…それは…」

「フハァッハァッ、このホテルはね、お客様のプライバシーってのをすごく大事にするんだよ。だから、色んな人が相談してくるわ。ストレス発散の場所でもあるの」

すごい説得力…。