(蓮人side)

さ~て、帰るかなぁ……。
ぶらぶらしながら廊下を歩いていると。
「ん?」
階段の踊り場で、泣いている橋田と、それをなだめる川島がいた。


「どうした?つか胡桃は?」


俺の質問に、さらに橋田が泣き出してしまった。
「一体どうしたんだよ?」
川島の方を向くと、なんともいえないような、泣き出しそうな苦しそうな表情をしている。


「く……胡桃ちゃんが……、女子の先輩達とかに連れていかれちゃって……」


泣きながら橋田が教えてくれた。


「は?てか、どこに?」


「わ……わか……ない。 けど、階段上がって……」
俺がいてもたってもいられなくて、走り出そうとすると、川島にガシッと腕を掴まれた。


「なにすんだよ、離せよ!!」
イライラしながら言うと。


「胡桃は大丈夫だから……。お願いだから行かないで……。」
は?
ふざけてんの?
「舞ちゃん……大丈夫だからってしか……言ってくれなくて……。でも、胡桃ちゃん、心配で……」


さらに橋田が泣き出した。


「おい川島、離せ!!」
腕を振り上げようとしたら。


「胡桃は大丈夫なの!!お願いだから行かないで……。胡桃も絶対に見られたくないハズだから……。」
と川島までもが泣き出してしまった。


「大丈夫なわけないだろ?つか行ってほしくない理由をちゃんと説明しろよ!!じゃなきゃ納得できるわけないだろ?」
イライラしながら言うと。


「……佐竹君、胡桃の事好きでしょ?」
唐突に川島に言われて、めちゃくちゃ動揺した。
「な……何言って……!!」
うろたえながら言うと。
「でもね、これを聞いたら、佐竹君も由梨ちゃんも、胡桃を見る目が変わっちゃうかもしれない……。それが怖いの……。たぶん胡桃も、それを怖がってる……。」