下の部屋から怒鳴り声が聞こえる。
父は病気を理解してはくれなかった。

「金ばっかり喰いやがって…!明日中にバイト決めないと追い出すからな!」

由宇は唇をきゅっと閉め、ケータイを片手に逃げるようにベランダから外へ出た。
外の空気は何日ぶりだろうか。
夜の闇が辺りを包んでいた。

バイトか…
こんな醜態を曝すならいっそのこと闇に溶けてしまいたい。