顔を洗ってスッキリしていると、とんでもない言葉が飛んできた。

「ああ、菜織に言うの忘れてたけど来週パーティーがあるから、ちゃんと菜織もくるんだぞ!」

.........はい?

え、聞いてないんですけどー。

私たち、高瀬家は名のある有名な財閥なんです。

世界で1位2位を争うくらいすごいんです。

俗に言う大金持ち、貴族、と言ったところだ。

貴族、などという言い方はちょっと違うかもしれないが。

そして、金持ちが集まるパーティーに参加しなければいけない。

私はあの空気が苦手だ。

有名な方と知り合って自分の家の株をあげようとするくそな考えをした人たちの集まりだからだ。

そんなことをするからいつまでも上にあがれないんだと、心底思う。

あ、私の家?

もちろん自分たちの力で上げてきました。

そんなせこい真似はしません。

「あら、あなたまた菜織に言うの忘れてたの?菜織、嫌なら無理してこなくてもいいのよ?」

お母さんが心配そうな顔をして聞いてくる。

母親にそんな顔させるなんて最低じゃないか。

「...いや、今回は参加するよ。もうそろそろあの空気に慣れないとね」

そうだ、私は高瀬家の長女なのだ。

いつかは参加しなければいけないのだ。

私は一人娘なので兄妹はいない。

自然と私が継ぐことになる。