女子の会話に付き物なのは恋愛話。恋愛トーク。
いわゆる、恋バナ。
女子にとって盛り上がる話題。
…なのに、
「恋はしないほうがいい」とか
「恋をしてつらくなるのは自分」とか
そんなことをバッサリ言う私に
みんなは離れていった。
なんでそんなこと言うの?って言われたら
こう答えるしかない。
「恋愛に冷めているの」と。
だってあんなの、最初は幸せでも後々つらくなる。
片思いでも、両想いでも。
そんな辛くなるなら恋なんてしない方がいい。
だって自分がつらく悲しくなるだけだから。
私がこうなったのは、中学の時が原因。
すべての始まりはそこからだ。
そのことを知っている人は誰もいない。
だからこそ、学校中のみんなは私を
”恋を否定する女”、”冷めた女”と呼ぶ。
そんな私でも一応、親友と呼べる友がいる。
自分で親友と言っていいのかわからないけど、
いつも傍にいてくれる、大事な友。
立花 陽華(たちばな はるか)。
少し天然で、でもちゃんと私の素を見てくれる女の子。
私の異名も気にせず関わってくれる唯一の人物。
だから、いつも…
「かーえでっ!おはよう!」
朝、クラスに入ると必ず挨拶してくれる。
私は、少し気を緩めておはようと、返す。
すると、少し無言になった陽華が私の手を掴んでこう言い出す。
「…楓、やっぱ笑った方がかわいいよ?」
え…?
いきなり何を言い出すんだこの子は…。
しかも陽華の手には私の手をがっちりと握りしめられて。
「笑ってるでしょ?いつも!」
「無意識なの?あたしに挨拶するときは笑顔なのに、普段は気を張っているような少し怖い顔だよ?」
怖い顔…。
確かに普段は陽華しか話せる相手がいないし気を張って顔がついつい強張っているのかも?
だって、周りは私を避けたりする人たちだよ?
気を張ってなきゃ弱い自分に押しつぶされちゃう。
実は私、弱虫だったり…。
だから、傷つくのを恐れて…恋愛はしないようにしているんだ。
自分を守ってるの…。
そんなことしなきゃいけないくらい、私は弱い人間。