「落ち着けって!」


「で、でも、うで「大丈夫だから!」


ギュッ


永瀬健に抱きしめられてやっと正気に戻った。


「かすっただけだから、なんともねえよ。」


低い声が心地よく響いて私の心を落ち着かせていく。


「ご、ごめんなさい。」


「なんで謝ってんの、ってうぉ?!」


一気に足の力が抜けて地面にへたりこみそうになる。


そんな私を永瀬健は左腕だけで支えながらしゃがんでくれた。


永瀬健の胸に顔をうずめる。


「なんで助けたの?」


いつもとは正反対の震えた声になってしまう。


「ほっとけなかったんだよ。いいんちょーのこと。考えるより先に体が動いてた。」


なんで私なんかのために…。


「…永瀬健のバカヤロー。」


恐怖からか安心したからかわからないけど、とにかく涙が止まらなかった…。


私が泣いている間、永瀬健は何も言わずにただ私の頭を優しく撫でてくれていた。