「ご...ごめんなさい。」


突然いいんちょーが謝った。


「なんで謝んの。って、うおっ!?」


っぶね~。


いきなり地面にへたり込んでしまういいんちょー。


あんなしっかり者で気が強そうなのに。


まじめで人に頼ろうとしないし。


...でも、今俺の腕の中で震えながら泣いているいいんちょーはすごく弱くて小さくて...ほおっておけないと思った。


ドキッ


えっ!?


いんちょーが俺の胸に顔をうずめる。


こんな時なのにその仕草がとても可愛いと思った。


「なんでたすけたの?」


突然の思いがけない質問。


「なんでって...そんなかっこいい理由なんかねえけど...。」


俺がそう答えると、「バカ。」と震えた声が返ってきた。


今にも消えいってしまいそうな声だった。


いいんちょーの涙は止まることを知らず次から次へとあふれてくる。


俺はそんないいんちょーの頭を撫で、胸を貸すことしかできなかった。