私は泣いて、遥はアオイを殴った。
「どうしてリスクのことを知っていて、雛と儀式を交わしたんだ!!」
遥は雛が好きだ。
雛も、遥が好きだと思う。
直接そういう場面を見たわけではないけど。
何となくそんな雰囲気が、二人の間にはあった。
誰よりも雛が好きだからこそ、遥はアオイを許せなかったんだ。
例え自分と雛が巡り会う、唯一の道だったとしても。
アオイもそれを分かっていてか、ただただ、遥の拳を受け入れていた。
ヒルナだけが涙を流して、ずっと遥を止めようとしていた。
私は一人呆然とアオイの横に立ち尽くして
今にも倒れてしまいそうなアオイの瞳を、見つめ続けていた。