“いつかまた会いに来るからね”
亜希はそう儂に言い残し、村を去った。
そして、十年後。
亜希は小さな子供を連れて、この山へと来た。
「おかあさん、おやまーっ!」
亜希と手を繋ぐ、亜希によく似た可愛らしい女の子。
あの男と、亜希の子供……。
「狐さーん、どこー?」
儂は姿を見せなかった。
約束を、亜希が守ってくれただけで十分。
言葉は通じてなかったはずなのに、ちゃんと子供まで連れてきてくれた。
「儂はもう、十分じゃ……。」
儂を探して山を歩く亜希を見、そんな亜希と手を繋ぐ子供を見る。
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