「こやつは儂が見ておく。マリン、最愛。そなた達は村へ戻れ。何かと言えど、マリンも心配であろう。」





それを見計らってか、上の階からカミリさんが華麗に下りて来て、中本さんを軽く持ち上げた。



す、すごい力……。





「……恩に着る、カミリ。行くぞ、最愛。」





その時、陽が沈む。



茜色の空は藍色へと変化。





アオイの姿は人間から、真っ白な狼へと……。





「急ぐ、乗れ。」



「う、うん。カミリさん! 中本さ……お父さんを宜しくお願いします!」





アオイに跨がれば、直ぐに景色はボロボロな部屋から広い外へと変わった。





何だか、久々に空気を吸った気がするな。