空はもう、オレンジから黒へと変わろうとしていた。
薄く目を開いた中本さんが、少し申し訳なさそうに口を開く。
「……早く戻った方がいい。部下が、赤坂山の崩しにかかってるはずだから。」
え……?
山を……?
「そんな……!」
急がなきゃ……っ!
「心配は要らねえよ。」
踵を返す私の手を掴み、アオイが言った。
「ヒルナ達が守ってる。山を崩させたりはしねえ。」
「……そう…………。」
中本さんは力無く微笑み
フッと、目を閉じて眠った。
安らかそうに、微笑んだまま。
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