でも途端に、その眼は厳しくなる。
「マリン。お前……ヒルナと儀式をしておるのか?」
冷たい瞳。
俺が唯一、この山で敵わない奴の眼だ。
「……だとしたら、何だ。」
その一言を答えるのに、時間がかかった。
「……七年前のクンの死。お前らはそれで、何も学ばなかったのか。」
カミリは普段、怒りもしなければ泣きもしない。
ずっと笑っていて、
俺は昔から、そんなカミリが苦手だった。
ただ唯一、カミリが怒るときがあった。
それは山の動物、仲間が傷ついたとき。
普段怒らない分、カミリが怒ったときは山のみんなが背筋を震わせて怯える。