「悠、お前は動物の気持ちがわかるんだろ?」





“狼から聞いた”と、遥は悠ちゃんの頭を撫でる。



悠ちゃんは軽く頷いた。





「……俺は、山添と同じだ。」





次に口を開いたのは、崎野先生だ。





「動物の言葉がわかる体質だった。」



「だった……?」





過去形で話す先生に、私と遥は首を傾げる。





「言葉がわかるのは七年前までの話だ。今はもう分からない。」





どこか悲しそうに、先生は独り言のようにぼやいた。





それを見た勲友ちゃんが、ギュッと先生の手を握る。





「勲友は俺の娘だ。……俺の体質を受け継いだのか、今の山添と同じ。言葉がわかるらしい。」