side 甘栗遥
――ピィ...
七時半を回った。
あと数十分で八時になる。
「くそ……っ!!」
今だに、悠は見つからない。
近所を探すも、悠どころか小さい子供の姿さえ見当たらない。
外はもう真っ暗。
懐中電灯がなければ、何も見えない状態だ。
早くしないと、母ちゃんと父ちゃんも帰って来てしまう。
そうなったら村中が大騒ぎだ、ただ事じゃ済まない。
苛々が、募る……。
――ピピョ……...
そんな俺の目の前を、雛が軽く飛び回る。
雛の表情は、少し悲しそうに見えた。
俺が、そんな顔をさせてるのか……。
「雛……ごめんな。」
申し訳ない気持ちになり、俺がそう言ったとき、背中側から強い風が吹く。