あんなにも、酷い事故だったんだ。





最愛が血だらけで倒れていた。



山に衝突して割れた、トラックの窓ガラスが、最愛に突き刺さっていた。





何かしら、後遺症を負ってる。



そんな予感は、あったんだ。





車から下りた最愛を見たとき、足にも腕にも、何処にも、後遺症らしき跡は、見れなかった。





当たり前だ。



最愛が後遺症を負ったのは、頭の方だったのだから。








分かってても、悲しかった。





俺の知る最愛は、もういない。



俺を知る最愛も、もういない。








満月に向かって、俺はもう一度、咆哮した。