ガラッ…


「咲羅!こと!おはよー!」


「ことちゃん、咲羅ちゃん、ぐっもーにんぐ!」



教室に入ると、クラスメイトたちに声をかけられる。



「おはよ!」


「おはよー」



ちゃんとそう言うのには返さなくちゃね。


みんな優しい人たちなんだから。




「琴音、眠そうだね?」


自分の席に座ると、咲羅がそう、問いかけてきた。


眠そう、か。


考えられる理由は、あの夢しかないよね。



「ごめん、ちょっと嫌な夢見ちゃってさ。大丈夫よ!授業、頑張らないとね」


「何で謝るのー!琴音が大丈夫なら良いの!」


「ん、ありがと」




うんっ!と元気に人懐こい笑顔を向けた咲羅。


こんな犬っぽい咲羅だから、私のことなんて聞いてこないと思ってたんだ。




つい、30秒ほど前までは。