「どうした?」


覗き込む淳。


「秋だなぁ~って思って?」


「葉っぱも茶色に染まったなぁ」


手が触れた、でも…。


淳は握らない、握ってくれない。


「他に好きな人いた?」


どうしよ…。


「え、う~うんいない」


「いなかったか、まぁ…いたとしてもそれはそれでいいよね」


「何で?」


「やっぱ、好きな人ってできないわけないじゃん?」


照れくさそうに笑う淳があの時の先生のように遠く感じた。