「.…っ!!」
意を決して掃除棚から出て、走る。
「え…?!三浦?!」
驚いてる晃先輩の声を後ろに聞き、走る。
とにかく一心不乱に走る。
後ろから足音が聞こえるあたり、晃先輩が追いかけてきてるのがわかる。
「…っ、三浦!!」
呼ばれるけど振り返らず走る。
でも、この私がサッカー部のエース様の足に敵うはずもなく、あっけなく捕まってしまう。
「俺から、逃げ切れると思うなよ…っ!!」
「…っ。」
待って。今、いろいろありすぎて頭が追いつかないの。
いっぱいいっぱいなの。
「三浦、こっち向いて。」
私の大好きな、柔らかいアルトの優しい声でそんなこと言われたら振り返るしかない。
私は俯いたまま振り返る。