細い路地を渡る。
少しひらけた丘に出た。
そこには、ポツン…とひとつの影があった。
ま、間に合った……。
「れ、蓮…斗…!!」
私は蓮斗の名前を呼びながら膝から崩れる。
「杏っ?!」
蓮斗が慌てた様子でこちらへと走ってくる。
私は肩で息をしながら、蓮斗に体を預ける。
「おま…、どうした?!」
ひどく慌てた様子の蓮斗に笑いが込み上げてくる。
「たくさん、走ったら…、疲れちゃった…。」
へへ、と付け足して私は答える。
「…ったく、馬鹿かよ。」
蓮斗は呆れた笑顔を向けた。
その笑顔が小学生の蓮斗と被って、涙が出てくる。
…変わらないね、蓮斗。
いきなり泣き出した私に蓮斗はあたふたする。
その慌てた表情に私はまた笑えてしまった。