あの場所は私のつらい思い出の場所。


初めて蓮斗に手を繋がれて。

初めて蓮斗にキスされて。


私と蓮斗は同じ気持ち。

そう、思った場所。


自惚れてた。

自意識過剰だった。

私が馬鹿だった。


蓮斗が私のことを好きじゃないなんて、わかっていたのに。



わかりたくなかった私がいた。


それでも、蓮斗が消えたことは事実で。

それは変わらなくて。


だから、あの場所は思い出したくなかった。


私が蓮斗に恋して。

蓮斗と笑いあって。

蓮斗と触れ合えた最後の場所だったから。



普段から運動していない私の足はもう限界だった。

痛くて、重くて、上がらないんじゃないか、とでさえ思えた。


それでも、足が勝手に動く。


もう、失いたくない。


昨日の蓮斗の寂しげな今にも消えてしまいそうな儚い笑顔。


消えてしまうのじゃないかと、昨日からずっと不安で仕方がなかった。



お願い、間に合って…!!


私、まだ何も蓮斗に伝えてないのに…!!