「早く帰ってよ。」 声が震える。 目頭があつくなってくる。 泣きそうなのが自分ではっきりとわかる。 「退院…明日だったよな。」 蓮斗の呟きに反射で頷く。 「明日、退院したら、あの場所で。」 ずっと、待ってるから。 そう言うと蓮斗は静かに病室を出て行った。 私は瞬間に泣き崩れた。 また期待させるようなことをして去っていく蓮斗。 その後姿が、小学生の頃のあの日と重なってまた涙がこぼれた。