「ずっと、好きだったよ。」


蓮斗の背中に向かって呟いた。

聞こえたのかびっくりした顔で振り返る。


電車が来たというアナウンスが流れ、私は電車に乗り込む。


「ずっと、大好きだったよ。さよなら蓮斗。」

「お前、やっぱり…っ!!」

こっちに向かってこようとした蓮斗に容赦なくドアは閉まる。

「杏…!!おい、杏里…っ!!」

初めて杏里と呼んでくれた。


さよならの日に思い出を増やすなんて、さすが蓮斗。


私は蓮斗に背を向ける。


目の前の景色がゆっくりと流れる。


私は目を閉じた。