「杏、またね」


しかも、遥斗も遥斗だ。


あたしという彼女がいながら、リカコの腕を振り払おうとしないなんて。


遥斗はチラッとこっちに視線を移した後、平然とリカコと腕を組みあたしの横を通り過ぎて行った。


これじゃ、あたしとリカコのどちらが彼女か分からない。



「ねぇ、杏。ここ最近、ちょっとひど過ぎない?」


隣にいた涼子があ然と呟く。


「だね……」


ひどいというのはリカコのこと。


ここ数日のリカコはハイエナのように遥斗を追いかけ回していた。