両親の愛を一心にうけて、悩みもなさそうに笑う女の子。


その子と自分を比べて、リカコはひどく落ち込み、そしてその感情は怒りに変わった。


『あの子が公園で遊ぶようになってから、みんなリカコと遊んでくれなくなったんだもん。あんな子、大っ嫌い!!リカコ、一人ぼっちは嫌なの!!』


駄々をこねるようにそう言ったリカコの瞳をいまだに覚えている。


涙を目に溜めているのに、それを頬に落とさないように必死で耐えているリカコ。


リカコは……愛されたいんだね。


わがままを言いたい放題のリカコは誰よりも愛に飢えていた。


リカコの気持ちが痛いほど伝わってきて、胸が締め付けられた。


結局、髪留めはベンチの傍に落ちていたと嘘をついてその子に返した。