「申し遅れました。私の名前はゼルエル。そのまま呼んでください。
今日は夜中ですし、明日以降少しずつ必要に応じて説明します。
あなたは相当疲れてますね。
明日に響くといけませんから今日は休みなさい。」

一方的に振ってきていきなりお休みとか言われても釈然としない所が
あるが、正直どうでも良くなるぐらい眠いのもまた事実だった。
聖人「一つだけ質問いい?」
ゼルエル「何でしょう?」
聖人「男?女?どっち?」
ゼルエル「どちらでもありません。
どちらにすることも可能ですが、特に私のような体では意味も無いでしょう。
敢えてこの体で男女をはっきりとさせるのはあくまで象徴的な意味しかありません。」聖人「男でも女でもない・・・。」
ゼルエル「どちらが良かったですか?」

そういって微笑む笑顔がすごく綺麗で、ゼルエルが女性だったら
きっと気になって眠れないと思っていた。
ゼルエル「でも、天の使いは力が強く、容姿も皆とても美しいのです。
当然彼らもです。貴方方が直接見ればきっと心を囚われてしまうでしょう。」

聖人「さらっと自慢?かな?」
ゼルエル「とんでもない。貴方方人間は私たちにとっても
羨ましいぐらいの存在なのですよ。」

聖人「?」
ゼルエル「まあ良いでしょう。また後で説明します。
おやすみなさい。」

聖人「お休みなさい。」
この一ヶ月、母親が亡くなり、お休みを言う相手も居なかった。
ばたばたしていたし、特別親しい友人も居ない。
今日は信じられない出来事があって、こうしてその現象が目の前にあって、
訊きたい事も解明したい事も聖人にとって山積みだったが、
今はこの心地よい眠気に身を任せ、後は明日以降考えるようにした。

すぐに聖人は眠りについた。

ゼルエル「本当はいろいろ説明したこともあったし、戦い方だって教えなければ
いけないけれど、今はゆっくりお休みなさい。」
聖人の頭を撫でながらそう呟いた。