聖人は全速力で自宅に帰ってきた。

戦うのは2回目だが2回目の戦闘のほうが怖かった。
見慣れない相手だから?
それとも前回とは違い神霊力を使ってきたから?

とにかく落ち着こうと、聖人は風呂に入る準備をする。
まずは風呂釜掃除をしなくては・・・。
靴下を脱いで風呂場に入る。
洗剤をつけてスポンジで風呂をこすりながら
ふと振り返る。

聖人「なあ、ゼルエル?」
ゼルエル「何ですか?」
聖人「神霊力ってどんな力なの?
やっぱり漫画に出てくるみたいに火は水に強いとかそういう設定
ありなのかな?」
ゼルエル「そうですね・・・。一度にたくさん説明するのは混乱の元
と思いましたが、今日みたいな出来事がないとも限りません。
きちんと説明しましょう。」
聖人「うん。知りたいんだ。きちんと力の使い方。」
聖人の瞳がいつも以上に力強さを感じさせた。恐怖を克服しようと
懸命なのか、あるいは戦う覚悟ができたのか。

ゼルエル「まずは神霊力から説明しますね。
神霊力というのは主に戦闘に使う力などに限られた呼び名です。
炎を纏ったり、氷を出現させたり、傷を治したり・・・
そういう具体的な現象を起こすものに絞ってわかりやすく呼んでいます。
これはあなた方のためですが・・。
本来は「聖霊」が呼び名で、これは活動するすべての力のことです。
「聖霊」は広い意味で活動する力を表し、「神霊力」はその中でも
具体的に範囲を絞った呼び名です。
だから広い意味では「聖霊」=「神霊力」ともいえますね。
これは分かりますか?」
聖人「なんとなく・・・・。」
ゼルエル「そして「火」や「水」や「光」やそういった属性の力関係を
知りたいということだと思うのですが、特に優劣はありません。
「水」でも火に勝てますし、「火」でも水に勝てます。
ここで重要なのは、最終的に具現化された形よりも、それを形成する
「神霊力の強さ」が全てを決定します。
前にも説明しましたが、私たちは「結果」そのものを起こすことが
できると説明しました。
ここで「聖霊」と「神霊力」の差が少し出てきます。」