近づいてくる人影は警官だ。
警官「こんばんは。塾の帰りですか?」

聖人は警戒しながら答える。
聖人「はい。(ゼルエル、この人ドールなの?)」
ゼルエル「はい。人形です!離れなさい!!」

警官「何だ、気づいてたのか・・・・・・。ヴヴヴぅ・・・」

警官の声がどんどん低くなり、少し体が大きくなっていた。
清美ちゃんの時のように手先が鋭くなってきている。

警官「お前が選ばれたニンゲンか・・・まだ子供じゃねぇか・・・」
聖人「くそ・・「剣」生成!!」

聖人の右手に煌めく剣が握られている。
警官「ほおぉ・・・楽しめそうじゃねぇか・・」
背中を丸め、とがった爪をなめながら呟いている。

警官「だがな・・」
聖人「!!!」

パン!!と乾いた音が響く。聖人は咄嗟に横に転んで避けた。
なんと警官は銃をこちらに発砲したではないか・・!
聖人「あっぶね!!いくら「剣」があるからって体は生身だぜ!?
あんなん避けきれるかっつーの・・・・。」

警官「ふん、避けたか・・安心しろ、弾は1発しかねぇよ。」
聖人「何故そんなことを教える?」
警官「もっと素敵なモンがあるからさぁ・・・」
警官の右手が炎を纏っている!!
聖人「何だよあれ・・燃えてんじゃねぇか!」

ゼルエル「あれは貴方の「剣」と同じ力、「神霊力」で構成された炎です!!
私たちには何の意味もありませんが、人間の貴方には効果十分です!!
あの炎は受けてはなりません!避けなさい!!」
聖人「また戦闘中に言う!!!」
戦闘中にいつもゼルエルが継ぎ足したように説明するのを、聖人はもう
慣れっこになっていた。

まだまだ力の扱いに慣れていない聖人に、いっぺんに教え込むのは良くないと
考えていたゼルエルだったが、もっとみっちり教え込むべきだったと後悔していた。

ゼルエル「来ますよ!!」
聖人「!!」
警官が聖人に向かって来る。向かってくるスピードが尋常じゃない。
清美ちゃんと戦った時を聖人は思い出した。

警官が右手を伸ばし、炎を纏った手で攻撃を仕掛けてきた!!
聖人は何とか避けているが、この炎ものすごく熱量がある!
あの右手で摑まれたら腕も足も使えない!
そう思った聖人は必死に避けている!!
聖人「くそっ・・・!」