ゼルエルに出会って1ヶ月経った。
聖人は冬休みに入った。受験勉強をがんばらなくてはいけない時期になってしまった。

塾も冬期講習に入る。
ゼルエルに初めて出会った時は、半信半疑で、自分は夢を見ているとか、
実は病気で頭がおかしくなってしまったとか、そんなことばかり考えていた。

でも今はずっと一緒に居るし、いろいろなアドバイスもくれる。

こたつでみかんを食べながら、聖人はゼルエルに問いかけた。

聖人「なあ、そういえば清美ちゃん以来、敵って現れないね。」
ゼルエル「はい、あの「人形」は、作るのにものすごく時間がかかるんですよ。
直接手を出せるなら、とっくに人間は全滅してますよ。
でも「人形」を使わざるを得ない。」
聖人「どのぐらいの数?」
ゼルエル「正確な数は分りませんが、割合で言うなら日本で都道府県に一人ずつぐらい
の数がいると思われます。」
聖人「へえ、そうなんだ。じゃあ他の県の敵は誰が倒すの?」

ゼルエル「なに言ってるんですか。聖人ですよ。」
聖人「ええ!!!」

聖人は大声をだして驚く。
ゼルエル「そうです。選ばれる人間が少ないので、仕方ありません。」
聖人「じょ、冗談だろ?受験生だぜ?俺は。
こんな大事な時期に戦えるかよ。しかも前回はたまたま大した傷負わなかったけど、
次はそうも行かないかもしれないんだぞ!?」
ゼルエル「そうですね。しかし今は貴方しか居ません。」
聖人「無茶いうなよ・・。」

聖人は少し下を向いて言った。

ゼルエル「とにかく、今は次の戦いのために備えなさい。
受験の事は心配要りません。」
聖人「心配要らないって言ったって・・」
ゼルエル「宇宙の創造を手がけてきたのですよ。私たちは。」
聖人「特別そういう事には首突っ込まないだろ?」
ゼルエル「まあ物事を奇跡で変えてしまうことは良くありませんが、
貴方のもともとの力を引き出すことは問題ありません。」
聖人「頭がよくなる?とか?」
ゼルエル「任せておきなさい。」

釈然としない様子だったが、とりあえずこの場は納得した聖人だった。