1ヶ月前、少年は母親を亡くしてしまっていた。
ただでさえそんなに社交性があるわけでも無いのに
母親が居なくなってしまった虚無感から、周りの人間を遠ざけ気味だった。

少年は反抗期を迎えた普通の少年だったが、母親に向かって吐いた
暴言の数々を後悔していた。
あんなに優しくしてくれた母親をどうしてあんな風に・・
誰にも言いはしなかったが、ずっと後悔していた。

いつも通り塾での復習を終え、明日の準備をして、
また明日になれば面倒なクラスメイトと顔を合わせる。
憂鬱になりながら少年は布団に入った。




「はじめまして。」
少年はすやすやと寝ている。時は夜中の1時を回ったところ。
コチコチと時計の針の音だけがする部屋で。
少年のベッドの横からもう一度
「はじめまして。」

「!?」
少年はびっくりして目を覚ます。
そして慌てて枕もとの眼鏡を手探りで探していた。
「そんなに慌てなくても・・。」

その声に
「うわぁ!!」
と大きな声。この家には、母親が亡くなってから少年一人しか住んでいない。
父親いない。今は親戚の援助でここに自分だけ。
だとすれば・・・

「誰だ!?」
少年は寝起きで働ききっていない脳で、全力で事態を把握しようとする。
横には少年・・のような少女・・のような
形容しがたい美しい人が立っている。
「はじめまして。君を探していました。」
そう言ってその美しい人は手を差し伸べてきた。

少年は何が起こっているのかまだよく判らない。
何故知らない人間がここに?いやそれよりも君を探してた?
というか男?女?

しばらく無言で少年はずっと考えながら、
そして目を一瞬でも逸らさなかった。

夢か・・。そう考えれば納得が行く。少年はその方向で
片付けようとした。

「待ってください。私は天から来ました。
そしてあなたを見つけました。」

会話を試みる少年。

少年「どういうこと?」