さて、今日は土曜日。学校が休みの日だ。
風が強く吹いているが、天井の高い青天だ。

聖人「今日は塾もないし、どっかいくかな・・。
そういえば、ゼルエルって人間界のものでなんか興味あるものあんの?」
ゼルエル「そうですね・・・。大概のことはもちろん知っていますし、
何事も私がやればうまくできてしまうでしょう。」
聖人「(さらっと言うんだよな・・。)」
ゼルエル「それゆえに何事も心から楽しくは無いのかもしれませんね。
私は神から命じられたことを行うのが最上の喜びです。」
と静かに微笑んだ。
聖人「・・・。」
聖人は何かを考えている様子だったが、
聖人「ヨシっ!!」
といって立ち上がった。
聖人「じゃ今日一日はとりあえず人間の嗜みを教えてあげないとな。
ゼルエル「 ? だから大体のことはわかりますってば・・・。」
聖人は家を出て、街まで繰り出した。

街までは自転車で5分とかからない。

ついたのはショッピングモールだった。
聖人「じゃあ近い所から。今日は見たいものがあって。」
ゼルエル「何です?」
聖人「そろそろ新しい携帯が欲しいと思ってたんだよ。」
ゼルエル「今のでも使えるのでは?」
聖人「もう1年半使ってるんだぜ。充電もすぐ切れるし、もう古いよな。」
ゼルエル「使えるなら無理に変えなくても。贅沢はよくないですよ。
働いて自分で稼いだら買えばよいではないですか・・・。」

聖人「ああ、もう。めんどくさいな。そりゃあ説教って奴?」
ゼルエル「そうではありません。使えるものを無理に変える必要がないと
言っているだけです。強欲はよくありません。」
ゼルエルは腕を組んでうなずきながら言う。
聖人「それが説教ってんだ。」
聖人は小さい声で言った。

ゼルエル「何か?」
聖人「いやぁ。」
ショッピングモール1Fの携帯売り場。ここは各通信会社の携帯が
綺麗にディスプレイされていて、機種ごとに説明書きが丁寧にされている。
各社の特徴もわかりやすく、用が無い時も聖人はよく携帯を見に来ていた。

この携帯というのは本当に便利だ。音楽が聴けてテレビが見れて会話ができて
電話帳が登録できて、おまけにゲームまでできる。
聖人は、携帯を手放せない生活を送っている。