家について夕食を採る聖人。
食べ終わった食器を、流しにドンっと置く。

聖人「そもそも、まだいまいち解んないんだよ。
はじめから順を追って説明してくれない?」
ちょっと不機嫌そうに聖人は言った。

ゼルエル「じゃあ、昔話からしてあげましょう・・・・」
そういってゼルエルは静かに語りだした。


神は天と地を創造された。
地には形がなく、荒漠としていて、闇が水の深みの表にあった。
そして、神の活動する力が水の表を行きめぐっていた。
それから神は言われた、「光が生じるように。」すると光があるようになった。



神は言われた、「わたしの像に、私たちと似た様に人を造り、あらゆる生き物を服従させよう」・・・・・

そこで塵から「アダム」が創造されたのです。

聖人「知ってるよ。」
ゼルエル「意外ですね。現代の人間はあまり興味がないようですが。」
聖人「有名な話じゃん。その後りんごを食べてしまうんだろ?」
ゼルエル「そうです。」
聖人「その辺の話はいいよ。知っているから。」
ゼルエル「いいえ、ここは大切ですよ。はじめにお話した滅びの理由だって
元をたどればここにある訳ですから。」
聖人「まだ言うか。」
ゼルエル「言いますとも。」

聖人はちょっと興味が沸いてきたようだ。

ゼルエル「人間は本当は永く生きられたはずでしたが、
食べてはいけないといわれた実を食べて、罪を背負いました。
その結果{死}ぬことになったのです。」
聖人「うん。」
ゼルエル「罪は人間に深く刻まれ、後世に死をも伝えることになりました。」
聖人「迷惑な話だな。
ゼルエル「・・・・。あなた方にしてみれば、そういうことになりますね。」
聖人「でもさ、初めて人間が創られたのは、楽園の中だったんだろ?」
ゼルエル「そうです。園の中にある全ての木から食べて良い。と言われました。
ただし園の中央にある実だけは、食することを禁じられたのです。」

聖人「なんで食べるかな、ピンポイントでだめって言われたものを。」
ゼルエル「そうですね。」
聖人「まあいつかは口にしてしまうんだろうが・・・
実を食べて死んでしまったのかい?」

ゼルエル「いいえ、目が開けました。それで自分が裸で居る事が恥ずかしくなったのです。」