「どう?自分の所為で誰かが死んだ気持ちって」
小島さんは小早川の方へと体を向けると、小早川を睨み付けた。
だけど、小早川が小島さんに視線を向ける事はない。
「いい加減、学校辞めてくれないかな」
「小島さん」
少しだけ怒りを含んだ声で小島さんを呼ぶ。
小島さんは口を噤んだ後、俺に視線を向けると訴えた。
「……先生も何か言ってくれませんか」
「何を」
「いるだけで迷惑なんだって」
「どうして」
「だって、私達がビクビクしながら授業受けたりしなくちゃならないんですよ!」
「……小島さん、一旦座ってくれるかな」
「……はい」
小島さんが視線を伏せて椅子に座ったと同時に、今度は小早川が立ち上がった。
小早川にクラス中の視線が集中する。
彼女は黙ったまま、出て行く為か扉へと向かった。
その小早川に声をかける。
「小早川、出て行く必要はない」
ぴたっと彼女の動きが止まった。
首だけをこっちに向けた彼女は、いつもの無表情で俺を見る。
「先生、私は必要とされない人間なんですよ」
そう言って、微かに微笑むと扉に手をかけて外へと出て行った。