「生徒の為、生徒の為。
これって結局自己満足でしかなくて、余計なお世話なのかな」
「……」
「……って、生徒である小早川に何愚痴ってるんだろうな。
今の忘れて」
俺は何を口を滑らせているんだろうか。
いくら悩んでいたとはいえ、小早川にこんな事言ってしまうなんて。
はあ、ダメだ、今日は早く帰って寝よう。
こんな時は何も考えずに寝るに限るんだ。
あははって笑い飛ばそうとした時だ。
「……偽善者って、要は捻くれた人物の負け惜しみから来た言葉でしょ?」
「え?」
素っ頓狂な声が口から出た。
淡々とした言い方だったけど、彼女は尚も続けた。
「誰かの為にした行動を、素直に認めて褒める事が出来ない人間が創り出したモノだと私は思う」
「……」
「本当の偽善者なんていない。偽善者ってのは誰かの妬みだと思うから」
「……」
凛とした口調で、そう言った彼女は一度こちらに顔を向けた。
ニコリともしなかったけど、彼女の瞳は俺を拒絶はしていなかった。