それからどれだけの時間が経ったのだろうか。
ガクっと自分の体が倒れそうになり、それでハッと我に返った。
あれ、俺まさか。寝ちゃってた?
やば。今何時?
まだクリアでない思考のまま、腕時計に視線を移す。
気分転換しようと職員室を出た時から30分が過ぎていた。
……はあ、よかった。まだ30分。
真っ暗でなくてよかった。
うーん、と俺は大きく背伸びをして辺りを見渡す。
と、視界に映ったのはすらりと伸びた足。
え!?
足?
驚いてその人物を確かめる。
そこにいた人物を見て、更に俺は驚いた。
「……小早川?」
俺の言葉に反応しない彼女は手に持っている文庫本を、黙って読んでいた。
何で小早川がいるんだ?
いつ来たんだ?
「おはようございます」
一度、こっちに視線を寄越すと小早川は一言そう呟いた。