「小早川が死んだら、俺が泣く。
何かあったなら、俺に言えばいい。
絶対に見捨てない。
俺は絶対に小早川を見捨てない」
「……」
「小早川は、その琥珀君が死んで悲しまなかったのか?」
「……」
まだ、何も言葉を発しようとしない小早川。
肩から手首に手を下ろすと、そっとその傷痕がある箇所に触れた。
古い物から、新しい物まで。
小早川の肌は陶器の様にすべすべで、きっとここも綺麗だっただろうに。
細くて、骨がはっきりと浮き上がった彼女の手首。
そこにある、無数の傷痕。
「死ぬなんて真似、絶対にもうしないでくれ」
どんな気持ちで、これを付けたんだろう。
何度も何度も。
死にたい。
それよりも。
助けて。わかって。気付いて。
ここにいるって、気付いて。
そう、思ってたんじゃないのか?