「!?」



目を見開くと、俺は強引に袖を捲くりあげる。


「やめて!」



すぐに小早川に振り払われて、それは隠されてしまった。


だけど。
ほんの少しの間だったけど。


そこにあったのは、確かにリスカの痕だった。
それも、一つや二つじゃない。無数の。


小早川はぎゅうっと、その傷のある手首を握り締める。
それから、ぽつりぽつりと話し出した。


「そうやって、話しかけて来る先生はいた。
だけど、全員あの日以降話しかけて来なかった」

「それって、検査の時のか?」

「……」


彼女はふるふると首を振った。



「……私が、琥珀を殺した日」



ガンっと鈍器で頭を殴られた様な衝撃が俺を襲う。
今、何て言った?


……殺した日?
琥珀?


付いて行けてないのに、小早川はまだ続ける。