次に目が覚めた時、私にはただ悲劇しか待っていなかった。
「……っ、ガハッ、ゲホっ」
苦しい。
ぼやける視界。
……ここは、どこ。
私、死んだの?
微かに遠くから大丈夫かの声が聞こえる。
知らない誰かの声。
琥珀は?
「っ」
痛みが走る左手首。
その先に感じる重み。
私の視界に飛び込んだのは、しっかりと結ばれた縄。
――――と、琥珀の手。
「………っ」
私のはっきりとした視界に映った彼。
琥珀は優しい顔で、眠った様に目を閉じていた。
「……(こ、はく)」
それは言葉にはなっていなかった。
私はそこで意識を失って、病院に担ぎ込まれたからだ。
再度、目を覚ました私から出たのはたった一滴の涙だった。