「何がしたい?」

「そうだな。映画館とか、遊園地とか、旅行とかも行ってみたい」

「いいね」

「でも…、普通に手を繋いで歩けたらそれで満足かな」

「……」


チャプンと、琥珀の片足が海へと沈む。
同時に私の片足も。



「俺ね。玲織奈を初めて見た時、人形かと思った」

「何それ。初めて聞いた」



段々と、海水に飲み込まれていく私と琥珀の体。



「黒い綺麗な髪の毛に、綺麗な茶色い瞳だろ?
それに、腕とか足とか白くて細いし」

「何。そんな褒めて。何もないよ?」

「本心だよ」

「……」


顔まで海水に潜った私と琥珀。
ぎゅうっと繋がれた手は離れない。


琥珀は一度私を見ると、にっこりと微笑んだ。