決行の日。
両親の管理を掻い潜って、琥珀が家を飛び出して私と待ち合わせした場所まで訪れた。


地元の人でも、あまり近付かない海岸。
突然深くなる場所があって、危険だから。


晴れ渡る空。
真っ青に光る海。


立ち入り禁止の看板を抜けて、私と琥珀は砂浜に立っていた。


すると、琥珀が持っていたバッグから何かを取り出す。



「これ」

「……ロープ?」

「うん。手を繋ぐだけじゃ不安だから」

「そうだね」


頑丈なロープ。
それを琥珀は片手で器用に結んで行く。


私も手伝いながら、きつく結んだ。
ちょっとやそっとじゃ動かない、私と琥珀の手首。



痛みもあったけど、そんなのどうでもいい。



琥珀はじっとそのロープを見つめるとぼそっと呟いた。