「俺がたくさん玲織奈を甘やかしてあげるから。
たくさん我慢して、我慢して、頑張って生きて来た玲織奈を、甘やかしてやるから。
だから、もう切るなよ?」
「う、ん、もう切って、ない」
「死ぬなよ?」
「っ、う、ん」
「絶対俺より先に死ぬなよ?」
「や、だ」
「俺も嫌。玲織奈が死んだら耐えられない」
「……、」
「おじいちゃん、おばあちゃんになっても、二人で笑い合おうな?」
「…………」
「それで、ちゃんと寿命を全うしたら……琥珀君に会いに行こう。一番に」
「も、い、いよ、なが、ひ、……」
「だーめ。これは絶対条件。
だから、ちゃんと生きような?」
「う、ああぁぁ」
くしゃくしゃに顔を歪めた玲織奈は、声を上げて思いっきり泣いた。
積年の想いを全てぶちまけるかの様に。
綺麗な色ばかりではなかったと思う。
きっと、玲織奈にとっては辛くて、苦しくて、黒くて、暗くて、どうしようもない絶望の色だった筈だ。