「最初から一番目なんて望んでない。
言ったろ?俺に“二番目に好き”だって。
それでいいじゃないか。
何を恐れる必要があるんだ?」
ふるふると彼女のシャツを掴む手が震える。
それから彼女はゆっくりと顔を上げた。
交わり合った視線。
その茶色い瞳には困惑の色が浮かんでいる。
俺の言葉の真意を確かめているんだろうか。
「小早川、琥珀君はもういない。
だから、彼を見て怒る事も笑う事も、ときめく事だってない。
俺を好きだと思うのは、彼がいないから思うんだよ。
いない前提の感情だって事をわかってなかったのか?
それを裏切りだと思う必要なんかあるのかな?」
「それが、こ、じつけだっ、て……」
目に涙を溜める小早川。
背中に回していた腕を、彼女の頬へと添える。
……ああ、初めて泣いたな。