「……え?小早川?」



小早川は。



その、ピアスを外して手の平に乗せたんだ。



頑なに外す事を拒んでいた小早川だったのに。
これがどんな意味を成すのか。

それがわからない程に俺はバカじゃない。



「……」



目を見開いたまま、その様子を見つめていると小早川が口を開く。



「前に進まなくちゃいけないんだって思った。
結局、私は傷付きたくなくて逃げてただけだって」



そのピアスを乗せた手をぎゅっと握り締める。
それから、真っ直ぐに俺を見据えた。


茶色い瞳が俺だけを視界に捉える。


ドクリと変に心臓が鳴った。