「そう、こないだ堂島さんに会ったよ。小早川の伯母だよね?」
幹に触れる小早川の手に力が入ったのがわかった。
だけど、俺は構わずに続ける。
「知ってた?小早川って全然一人じゃないの」
「……」
「気付いてないだけで、小早川には色々な人がいたんだ」
皆、ただ不器用で。
言葉に出して何か言う事が出来なくて。
だから、気付けなくて。
何も知らないから、小早川はただ傷付くだけだった。
「今回の引っ越し、堂島さんが小早川を想っての事だったんだよ」
「……え?」
ゆっくりとこっちを見ると、小早川は疑いの眼差しを向ける。
そりゃそうだ。
小早川は疎ましがられてると思ってたんだから。