「……問題児め」


そう、小早川に聞こえないぐらいの声でぼそっと呟いた。
もちろん、寝ているから小早川は無反応。


ゆっくりと、その手を小早川に伸ばす。
そっと綺麗な小早川の髪の毛を撫でた。


だけど、どうやらそれが小早川を起こしてしまったらしい。



「……ん」


呻き声を上げて、眉根を寄せる小早川に、すぐさま手を引っ込める。
それから、小早川は静かに目を開けた。



「……先生?」

「おはよ、寝てると思わなかった」

「……」


目を一度擦ると、体を起こしてこっちを見た。



「何でここにいるんですか」

「小早川を教室に連れ戻そうと思ってね」

「……起きたら戻るつもりでした」

「本当に?」

「……」



俺が尋ねると、小早川は訝しげな顔を見せる。
それがあまりにもわかりやすくて、俺は声を上げて笑った。