「私、男を取ったとか色々言われてて、実際全て嘘なんだけど信じて貰えなくて。
離れてった友達多かったから、小早川さんの気持ち一番わかる筈なのに」
今にも泣きそうな小島さんの頭に手を乗せると、撫でる。
少しだけ驚いた顔で俺を見上げる小島さん。
目には涙が溜まっている。
「それ、小早川に言ってやってよ。
きっと喜ぶから」
「……」
「小島さんは素直でいい子だね。それを時任さんはちゃんとわかってくれてるんだ」
「……はい」
小島さんは頷くと、ぎゅうっと時任さんの手を繋いでいた。
それに、ふふって笑みが漏れる。
「それじゃ、もうすぐ授業始まるだろ?
教室入りなさい」
「はい」
「先生、ありがとうございました」
「うん」
二人を見送ってから、俺は踵を返す。
次の授業はない。
だから、俺の今の目的は小早川を探す事。
最初にあの桜の木まで行ってみたけど、そこにはいなかった。
いると思ったんだけど。
カバンは持って行かなかったし、学校にはいると思うんだが。
……って、まさか保健室か?