私は、思わず斎藤さんの顔を見上げた。
すると、彼は優しく笑ってくれた。
「杏子、ここにはお前をバケモノだと思ったり、嫌ったりする者など、1人もいない」
「斎藤さん……」
「俺が、俺達が、お前の帰る場所だ。
どんなことがあっても、お前の帰りを必ず待っている。
だから……」
凛とした声と瞳で、斎藤さんは私を真っ直ぐ見つめ、こう言った。
「信じてくれ」
「っ!!」
嬉しくて、嬉しくて、お礼を言いたいのに、言葉にならなくて、コクコク頷くのが、今の私に出来る精一杯だった。
そんな私に斎藤さんが手を伸ばそうとした時、突然スパーンッと障子が開け放たれた。
「ちょっと斎藤くん、1人でいいとこ持っていかないでくれる?」
「沖田!」
「あれ、杏子いたのかよ!」
平助くんが驚いた様に目を丸くする。
「へえー、珍しい格好してるじゃねえか。
かわいいぜ、杏子」
「っか、からかわないでください、原田さん……」