『そういえば、その鍵…。』

『あぁ…』

私は彼の右手に握られていた鍵を見つめながら訊ねた。

すると彼はフッと笑みを零しながら私を見下ろした。

『研究所の、博士のデスクの中で見つけました。』

え…

見つけたって、

まさか…

私は大きく目を見開きながら彼を凝視した。

すると彼はにっこりと微笑みながら、

『私、信用されてますから。』

と、何事もなかったかのようにサラリと言ってのけた。

いや、そういう問題じゃなくて…

私、本当に婚姻届にサインしてもいいのかな…?

小首を傾げながら見下ろす彼を見上げながら私は心の中で自問自答を繰り返した…。


end