「え………っ」
良くない……感情…?
「菜美ちゃんが嫌いな訳じゃない……」
よかった……。
「と、思うよ……。」
「じゃあっ、何で………」
「そこまでは分かんないけど………」
「本当に……分かんないですか?」
「……うん、ごめん…」
先輩なら分かってるような気がしてたけど、
そんな事ないか……。
「先輩は何も悪くないです……」
「もう少し、俺も頑張ってみるから、明るく……ね?」
「はっ、はいっ!」
とりあえず、ニコニコとしてみる。
そして、またもや沈黙。
……何か言うこと……っ!
「最近はさ、“木戸先輩”って呼んでくれるよね!」
先輩も何を思ったのか、勢いよく話を切り出した。
「先輩が呼べって言ったんじゃないですか~!」
「じゃあさ、とお……」
「な、何ですか?」
何かを言い掛けた瞬間に言葉が止まった。
「……いや、何でもない!」
「……そうですか…?」
“菜美ちゃんって、透君と仲良いよね!”
海崎先輩の言葉をハッと思い出す。
何も、真っ正面に言葉を受け止めた訳じゃないんだけど……。
木戸先輩が私に話しかけてくるのは、からかったりとか……面白がってるだけなのになぁ……。
……あっ?!
心の中で色々とひとりごとを……っ
「海崎さんが、そんな事言ったんだ~」
し、しまった!!
「仲が良いっていうよりは、俺が菜美ちゃんに話しかけまくってるだけだよね!」
「ですよねっ!私も思ったんです!」
「正直だね~……」
「はっ!すいません!」
木戸先輩は協力してくれた訳だし……
私にはまだまだ出来る事はあるよね?
「あ、帰るね!ごちそうさま!」
お皿を流しに出した後、木戸先輩はそう言って玄関へ向かって歩いていった。
「あっ、はい!あの……先輩…っ!」
「……ん?どうしたの?」
「私……大狼君の事……頑張ります……!」
「うん!頑張れ……」
私を見て微笑んだ後、木戸先輩は出て行った。
私が、大狼君に出来ること……。