「おじゃましまーす!」


ここ最近聞いていなかった言葉。


あ、昨日聞いたか。


大きなスニーカーを脱いで玄関にきれいに並べている。


意外と几帳面なんだ……。

男の子ってもっと、ガサツだと……。


くつろげるようにテレビをつけておく。


そして足をキッチンへと運ぶ。


部屋から聞こえるテレビの音と笑い声。


ハンバーグを作りながら、ふと思った。



………木戸さんも呼んだ方が良かったかな?



いや、ダメだ!変質者を入れちゃ!


ジュワッといい香りを漂わせながら、自分の考えを全否定。



ピンポーン……



うわ、まただ……。


おそるおそる玄関に近づいて、こっそりドアの隙間から覗く。



「菜美ちゃー……」



うぎゃああああああ!


勢いよくドアを閉める。


身の危険を感じたから手が勝手に動いた。


あれ、閉まんない………


よく見ると手が挟まってる…。


「わっ、ごめんなさいっ!」


ドアを開けて謝った瞬間………


「どういたしましてーっ」


そう言って玄関に入ってきていた。


………いつ入ってきた?!